俺のシンデレラになってくれ!
あたし達は、お互いの損得でしか繋がってないんじゃなかったっけ?
篤は、自分の劇のシンデレラ探しのために。
あたしは、自分の生活費を削らずにいろいろな物を手に入れたり、単純にお金を稼いだりするために。
そのために、あたし達は一緒に行動し始めたんだ。
つまりあたしは、昨日のことも含めて、何にも後ろめたさを感じる必要もないし、落ち込む必要もない。
この服を今日着てきたのだって、シンデレラの“バイト”の一部ってことでしょ?
そう考えれば何の問題もないし、むしろ、あたしの行動は報酬に対する当たり前の労働だ。
「下心があって安心したわ」
「美砂、何か言った?」
「ううん、何でもない。で?今日もバイトはあるわけ?あたしはまだ、シンデレラになるつもりなんて全くないんだけど」
「“全く”ってひどくない?」
さっきからずっと黙ったままの篤に視線を送ると、少しむっとした表情で返された。
「仕方がないでしょ。事実なんだから。昨日だって、自分のことを知ってほしいなんて言いながら、結局よくわからないままで終わったし」
「俺の実家の雰囲気とか、俺のシンデレラ像とか、少しは伝わったと思ってるんだけど」
「……あー、なるほどね」