俺のシンデレラになってくれ!
ますます不機嫌になる篤を見て、あたしは体を黒板に向けた。
背中に向かって、篤の容赦ない視線が刺さってるみたいで気持ち悪い。
「篤、前途多難ね。もっとストレートにズバッといっちゃっていいと思うけど?美砂って見た目通りに冴えないし、鈍いし、硬いし。
まぁ、それがいいところでもあるんだけど」
「晴香、それひどすぎ」
「なるほどね。じゃあ美砂、今日は俺の家に来て」
「さらっと流すな!」
なるほどね、ってどういうことだ。
しかも、じゃあ、って何なんだ。
選ばれた言葉とつなぎ言葉が一致してないと思うのはあたしだけか……?
いや、そんなことはないはずだ。
しかも、ものすごく失礼な発言をされたのに、それも綺麗にスルーときた。
大声を出して怒るのも、そのせいで変に目立つのも面倒で、湧き上がってきたいらいらを溜息に変える。
「ストレート来たわ。しかも、不意打ちの超ど真ん中」
「中身はわかんないけど、セリフだけなら相当勝負かけた感じだよね。俺には言えないわー」
「いや、雅也の方がさらっと言ってそうなんだけど」
「いや、俺は意外に純情よ?」
「2人も、さらっと流すのやめてくれない?」