苦く甘い恋をする。
「……ったく。アホな答えだな。
おまえ、そんなんだから、愛海に愛想つかされるんだぞ?」


長谷川くんは、「わかってんのか?」そんな憎まれ口を叩きながら、私の髪をするりと撫でた。


「でーも。
俺がいないだけで。俺が連絡をしなかっただけで。
そんなにぐだぐだになられると、逆に可愛いな?
男としては」


もしゃっとかかった髪の隙間、テーブルに頬をつけた状態で長谷川くんを見上げると、


「おまえ、俺がいなくて、そんなに寂しかったのか? ん?」


長谷川くんは、ニヤリと意地悪そうに口端を歪めた。
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