苦く甘い恋をする。
訝しがりながらも、チラッと視線を紙に向かって落とすと……。


「……は!? オーストラリア支店……って!?」


名前の下に見えた、あり得ない文字の数々。


「ち……ちょっと貸して!!」


長谷川くんの手から紙をひったくって、目をサラのようにして眺めた。


でも、これ……。


「なんだ。これ、ニセモノじゃん」


ほぅっとため息をついて、肩を下げ、紙を長谷川くんに向かって、放り投げた。


「随分、手の込んだイタズラじゃない?」
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