苦く甘い恋をする。
「うっ……うるさいなぁ。そんなんじゃないよ」


「ふーん。じゃあ……何?」


愛海は、時間がないと言っていたクセに、私にジリジリ詰め寄って、私の体を壁際まで追い詰めた。


「ま……愛海っ……。遅れたら、木村さんに怒られるよ……。
あの人、めちゃめちゃ怖いんだから……」


そんな私の忠告を余裕でスルーして、愛海は私の瞳を覗き込む。


「へぇ、美姫って。いつものスタンスは、ただのポーズだったんだ?」


愛海は小首を傾げて、私をあざける。
< 74 / 388 >

この作品をシェア

pagetop