苦く甘い恋をする。
時間もないし、そろそろ行こうかな……。


男性社員が壁の向こうに消えるのを見送ってから、腕時計に視線を落とした瞬間……。


「ほーんと、いいわよね、のん気で」


またさっきと同じ、険のある声が降ってきた。


……は!? まだいたの!?


驚く私に、その女性は、これみよがしなため息をつく。


「私なんてぇ、朝から会議で、超忙しかったのよね~。
早朝会議ってやつ? 食事もまだとれてないし、肩も凝っちゃった~」


「…………」


……は? それが何か?


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