あなたと、恋がしたい
ところが翌年、航介は海外の企業からオファーを受け、日本を離れることになった。

今はニューヨークを拠点にし、長期滞米している。会えるのは三カ月に一度、半年に一度、そして一年とだんだん開いていき……付き合っているのかどうかも分からなくなくなるような距離を感じるようになっていった。自分から別れを切り出すには、好きになりすぎてしまって、二の足を踏んでいる。

フラワーシャワーの一片を拾いあげ、果歩は溜息をついた。
挙式の時はライスシャワーだったので、披露宴の最後はフラワーシャワーで色鮮やかに締めくくったのだ。

「ねえ、ハマちゃん」
結衣の髪や肩にも花びらがついている。そして果歩の髪にも。ホテルのロビーから出ると、想いを散らすように風が吹いて、その花びらが夜空に舞い上がった。

「んー」
「別れるのも勇気いるね。たとえ一年に一回会えない関係でも、三年見送っちゃうと」

「……凄い好きだってことでしょ」
「うん……だから尚更タイミング失ったかなぁって。ちょっと離れてると辛い。でも別れるのもっと辛い」

素直に果歩が本音を洩らすと、結衣はまるで姉のように優しく諭した。

「先行きがあるんならいいけど、ね」
「分からない……そういう話したことないし」

だから言わないことはないと結衣が溜息をつく。一方で一途さは認めてくれてはいるようだ。

「うーん。この際、新しい男、つくっちゃえば。一回くらい浮気したって罰は当たらないわよ。そしたら向こうだって慌てるかもよ。それぐらい許すようじゃなかったら、置いてきぼりで海外に行かないっていうの。音信不通とか果歩のことなんだと思ってるのよ。ほら、この後の二次会で、どう?」

「ええ?」

果歩の気分が沈んでしまったのを察したのだろう。結衣はきついこと言ったなとでも思ったのか、気分を盛り立て始めた。

当の果歩はというと、別の誰かとの出会いなど期待していなかったが、消化不良の今、気分転換に二次会に参加するぐらいなら、と思い、会場になっているダイニングレストランへと会場を移した。
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