Signs Of Love【クリスマス短編】
「でもさ、社長の名前を間違うかな、普通。あれにはさすがの俺も驚いたな」
並んで座ったカウンター席で、先輩がビールの入ったグラスに口をつけながら、横目であたしにからかうよな視線を送る。
「う……、せ、せんぱーい……」
そう言われてしまえば返す言葉も見つからない、あたし。
でも――…
「まあ、果歩らしいよな。昔から変わらないよな、そういうとこ」
そう言って、またあたしの大好きな笑顔で頭をポンポンする。
本日二度目のポンポンにお酒も入っているせいなのか、あたしの体はカァ…って、一気に熱くなる。
「昔からって、ひどいです!!」
火照った頬をごまかすように。あたしは、なみなみとグラスに入っていた、ワインを一気に飲み干した。