Vrai Amour~美空の場合~
「美空」

カフェの入り口から少し急ぎ足でこちらに向かってくる斗真さん

「こんにちは」

美桜と陸さんが振り向き挨拶をすると、斗真さんも不思議そうな顔をした。

「えーと」

「・・・市川陸さん、美桜の・・・・」

というと、美桜は無言で左手をかざした。

まるで結婚会見のように左手の薬指をかざして見せる。

「あぁ・・・そうなの。おめでとう。じゃあ、今日はお祝いをしに行こうか」

「大事な妹をさらっていったんだもの。めいいっぱいごちそうしてもらわなくちゃ」

「ははは、そろそろ勘弁してくれよ」

そう言いながら斗真さんは私の手を取って助けてくれる。

もうすぐ産まれる予定の臨月のおなかはなかなか重い。

「大丈夫?美空」

「うん、大丈夫」

もうすぐ産まれる私たちの赤ちゃん

いつか産まれる美桜と陸さんの赤ちゃん

可愛い子には旅をさせろというけれど

できれば、平凡に

ただ平凡に幸せな人生を歩んでいって欲しい。

今の私がそうであるように・・・
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