【短編】message

プシュ･･･。

缶ビールを開けると、涼しげな音がした。

軽く缶を寄せ合い、乾杯した。

「疲れてるから美味く感じる。残りは冷蔵庫いれとくな。」

僕らは向かいあって座り、しばらくたわいもない話をしていた。

「ハルってさ、秘密主義か？なんかお俺に隠してるだろ？」

「別に何も隠してやいないさ。」

祐介はふーんと僕の返答に納得いかない顔をしていた。

「そういや、この前の図書館でお前･･･もしかしてあの女の子の殺人事件調べてたのか？」

「あぁ。まぁちょっとな。」

「何のつながりもないじゃないか、あの事件とお前とは。」

「信じないだろうけど、俺は幽霊の声が聞こえるんだよ。姿は見えないんだけどな。あそこで死んだ子の声が聞こえたのさ。」

酒の力のせいか、僕は勢いに任せて冗談ぽく本当のことを言ってみた。
祐介なら笑い流してくれる。

「そうかぁ。」

祐介の反応は意外なものだった。

「おい祐介。俺、今かなり頭のおかしいこと言ったぞ？」

祐介はすーっと深呼吸して口を開いた。

「お前との付き合いはまだ4ヶ月くらいだ。けど、お前がそんなしょうもない嘘つく奴じゃないってことくらいはわかってるつもりだ。それが本当でも嘘でも、何か事情があるんだろな。」

祐介の目はまっすぐ僕を見ていた。

僕はとても･･･とても嬉しかった。

「なんか、ありがとな。お前、本当にいい奴だよ！」