【短編】message
「おう!彼女はまだか?」
濡れた服をタオルで拭きながら、祐介がこちらに向かって歩いてくる。
考えがまとまらないまま、あっという間に1時間近くの時間が過ぎていた。
「まだみたいだよ。連絡先は知っているのか?」
「あぁ。電話がくるはずだから大丈夫。」
ドクン・・・と鼓動が早くなる。
軽快な着信音が鳴り、祐介が電話にでる。
「えーと、窓側にいる。青いTシャツとボーダーのTシャツの男二人。見えたら手を振って。」
学食の入り口のあたりで、女の子が右手を大きく振ってかけよってくる。
「お待たせ。あなたが春樹くん?」
目の前に現れた浅井真美を見て、僕は驚く。
彼女のことは以前から知っていた。
正確に言うと、1度だけ会ったことがあったのだ。
忘れもしない半年前の2月。
この大学の入学試験の日に、僕の隣に座ったのが彼女だった。
大事な試験だというのに、僕は消しゴムを忘れてしまった。
慌てふためいて鞄をひっくり返して消しゴムを探す僕を見かねた彼女は
「あたし、消しゴム2個あるから貸しますよ。」
僕に消しゴムを差し出してくれた。
僕は何度も何度もお礼を言った。
僕がこの大学にいれるのは彼女のおかげかもしれない。
時間前に回答を終えた彼女は、早々に立ち去ってしまったので、僕は彼女の連絡先も名前すらも聞くことができなかった。
「おい、ちゃんと挨拶しろよ!」
祐介に肘でつつかれて、僕は我に返った。
「祐介君、彼があたしと仲良くしたいって人?」
真美と祐介は面識があるようだった。
それに、僕が彼女に好意をもってて紹介を懇願したように聞こえる。
「文学部の元村春樹です。はじめまして。」
とはいえ、僕は彼女に見惚れていた。
「どうしたの?あたしの顔が変かな?あんまり見られると恥ずかしいんだけど。」
肩にかかる髪を耳にかけながら、彼女はクスクス笑った。
クリクリとよく動く大きな目がとても可愛らしかった。
美奈も彼女に似ていたなら、たいそうな美人姉妹だろうなと思った。
濡れた服をタオルで拭きながら、祐介がこちらに向かって歩いてくる。
考えがまとまらないまま、あっという間に1時間近くの時間が過ぎていた。
「まだみたいだよ。連絡先は知っているのか?」
「あぁ。電話がくるはずだから大丈夫。」
ドクン・・・と鼓動が早くなる。
軽快な着信音が鳴り、祐介が電話にでる。
「えーと、窓側にいる。青いTシャツとボーダーのTシャツの男二人。見えたら手を振って。」
学食の入り口のあたりで、女の子が右手を大きく振ってかけよってくる。
「お待たせ。あなたが春樹くん?」
目の前に現れた浅井真美を見て、僕は驚く。
彼女のことは以前から知っていた。
正確に言うと、1度だけ会ったことがあったのだ。
忘れもしない半年前の2月。
この大学の入学試験の日に、僕の隣に座ったのが彼女だった。
大事な試験だというのに、僕は消しゴムを忘れてしまった。
慌てふためいて鞄をひっくり返して消しゴムを探す僕を見かねた彼女は
「あたし、消しゴム2個あるから貸しますよ。」
僕に消しゴムを差し出してくれた。
僕は何度も何度もお礼を言った。
僕がこの大学にいれるのは彼女のおかげかもしれない。
時間前に回答を終えた彼女は、早々に立ち去ってしまったので、僕は彼女の連絡先も名前すらも聞くことができなかった。
「おい、ちゃんと挨拶しろよ!」
祐介に肘でつつかれて、僕は我に返った。
「祐介君、彼があたしと仲良くしたいって人?」
真美と祐介は面識があるようだった。
それに、僕が彼女に好意をもってて紹介を懇願したように聞こえる。
「文学部の元村春樹です。はじめまして。」
とはいえ、僕は彼女に見惚れていた。
「どうしたの?あたしの顔が変かな?あんまり見られると恥ずかしいんだけど。」
肩にかかる髪を耳にかけながら、彼女はクスクス笑った。
クリクリとよく動く大きな目がとても可愛らしかった。
美奈も彼女に似ていたなら、たいそうな美人姉妹だろうなと思った。