【短編】message
「浅田真美に会ってみるか？」

祐介の提案は、午後一のテストの休憩時間のことだった。

外はすっかり灰色の雲に覆われ、講義室の中はジメジメした湿気で溢れかえっている。

「会ってどうするんだよ？俺は君の妹の幽霊と話せますって言うのか？」

「それは言わなくていいだろ。なんか手がかりがみつかるかと思っただけさ。ダメもとで行こうぜ。」

真美が僕らと同じ大学にいると、祐介から聞いていたものの正直、僕は気が進まなかった。

「法学部に仲間がいるから、メールしとくよ。じゃ、俺次の講義室に行くわ。」

僕は空き時間だったので、祐介が戻るまでの間、学食で時間をつぶすことにした。

ポツリ、ポツリと冷たい雫が熱く乾いた地面を潤し始めている。

「傘、玄関に忘れちまった。」

僕は窓側の席に座り、ぼんやりと外を眺めた。

講義が終わった頃に、すぐさま祐介からメールがきた。

【4時に学食で、彼女と待ち合わせだ。その頃に俺も行く。】

ちょうど学食にいたので、僕には都合がいいなと思った。

携帯の時計は3時2分を表示している。

「あと、1時間。」

僕はかなり緊張していた。

彼女にどうやって話を切り出そうかまだ迷っていたからだ。

僕の嘘みたいな能力の話をするか、ただの興味本位で調べていると伝えるか。

選択肢はたくさんあるけど、どちらにしたってきっと僕は彼女を不愉快な気持ちにさせるだろう。

そう思うと、やはり気が進まなかった。
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