【短編】message
「ここがその川?」

「あぁ、そうだよ。」

僕が以前、マヌケに転んだ場所だった。

「さぁ、とりあえず人が増える前にとりかかろうぜ」


何のアテがあるわけでもない僕達は、あたりかまわず一心不乱に地面を掘り出した。


1時間ほど経つと、散歩をしている人や通勤途中の人が増え始めた。


穴だらけになった土手と、泥だらけの僕らは通行人の視線を集めていた。


「警察に通報されたりするかな?」

「大丈夫だろ?植樹ですとかなんとか言おうぜ」

掘っても掘っても、いっこうにそれらしいものは見つからなかった。
汗だくになって地面に這いつくばった。

「ないなぁ。ここじゃないのかな」

「実は警察がもうとっくに見つけてたりしてなぁ」

その可能性も十分あった。しかし、それを確かめるすべは僕らにはない。

「あーぁ。気合入れてきたんだけどなぁ」

その場に僕は寝転がった。

太陽が少し高くなり、燦燦と輝きだしていた。

祐介に話しかけようと右に振り向くと、あの日の朝顔が遠くに佇んでいた。
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