【短編】message
「やっぱりここにいた」

後ろにいたのは、祐介だった。

「たちの悪いイタズラは止めろよ」

祐介は、ぽんっと僕の肩を叩いて、電柱の傍に買ってきた花束を置いた。

「真美ちゃん、行っちゃったな」

僕らは少し低くなった空を見上げる。

雲ひとつない青空。

この遠い空の下に真美はいる。


「そうそう、お前が朝顔の花言葉がどうとか言ってたから俺も調べたんだ」


「それなら、美奈が教えてくれたからいいよ」


僕は真美のことを想ってた。
恋まではいかない。


だけどそれに似た淡いものを抱いていたのは本当だった。

「花言葉は、儚い恋だって」

「はぁ?」

思わず僕は祐介を見る。

「いくつか花言葉ってあるけど、儚い恋ってのも有名みたいだぞ」

それはまるで…。

「お前は余計なこと言いやがって!」

僕は祐介の首を押さえ込んで頭をぐりぐりしてやった。


「真美ちゃん、元気で頑張って欲しいな」

僕の本心だった。

これからも実りある人生を送っていくだろう。真美自身のために。


「彼女の心の傷までは俺たちには癒せないけど、お前のおかげで一歩踏み出すきっかけにはなったと思う」


「そうだといいな・・・」


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