ブラウン管の中の彼女
「あっ灘さん」
その名前が先日の出来事を思い出させた。
教室の扉の傍に立っているのは間違いなくあの時祐ちゃんに走りよってきた子だ。
一番…恐れていたことが起こってしまった。
「ごめんね」
祐ちゃんはその子のところに行こうとする。
ヤダ…。
「行っちゃヤダ…」
実早は祐ちゃんの制服の袖を小さく掴んだ。
「すぐに戻るよ」
祐ちゃんは宥めるように実早の手を制服からはずした。
2人の笑いあっている姿に胸が痛い。
祐ちゃんが無邪気に笑う姿なんて実早は見たことがない。
だって祐ちゃんは実早の前だと困ったように笑うか微笑むだけだもん。
そんな笑い方知らない。