ブラウン管の中の彼女


「お前さあ…いいように使われてるんじゃね?」









そう言いながら太一(タイチ)は僕のカバンからガサゴソとノートを取り出した。


「そう言う太一は何してんの…?」


「へっ?もちろんノートを写しに…」


僕は太一の手から無言でノートを取り上げた。


太一はチッと舌打ちをすると僕の隣に腰掛けた。


「俺、お前の幼なじみって見たことね―けど、話聞いてるとワガママ放題じゃん」


太一は長い足をフルに活用して僕の足をちょんちょん蹴った。


太一と僕は高校で知り合った。


地味で人見知りの激しい僕に自分から話しかけてくる人はそういない。


太一は多分、この高校で一番親しい人間かもしれない。



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