誘惑Baby
「どした…?」
どれくらい待ってたんだろう。
優子の指先は凍るほど冷たかった。
「…ごめんね…。突然来たりして…」
震えた掠れた声で、俯きながら、けどしっかり俺の手を握る。
「いいよ。あとで話、聞くから。会いたいのは、優子だけじゃないだろ」
俯いていた顔を上げて、少し目を潤ませた優子が可愛くて、可愛くて。
理性が飛ばないように、頭を撫でるのが精一杯だった。
「とりあえず、お風呂入って。風邪引くから。ね?」
俺の言葉に小さく優子は頷いた。
何があったのか…。
コーンスープを作りながら俺は考えていた。
あんなに弱々しい優子は久しぶりとゆうか…。
正直、何があったのか聞くのも怖い気がした。
「あ……、お風呂…ありがとう」
「えっ、あぁ。いいえ。コーンスープ飲む?」
「うん。飲む」
俺はカップにスープを注ぐと優子に渡した。
「座んなよ」
俺の言葉にも小さく頷くだけの優子はやっぱり、弱々しくて苦しそうだった。
しばらく沈黙が続く中。外では雨が本格的に降ってきたらしかった。