春待つ花のように
 彼はとても怖い顔をしている。

ノアルとの関係について怒っているのだ。レイが黒尽くめの男に追われている隙をついて、ノアルが裏口から逃げ出した。

そしてレイと黒尽くめの男との間にゼクスが入り、男は別荘から姿を消した。レイが彼女の部屋に戻ったときには、彼女一人しかおらず、レイの苛立ちは倍増した。

「庭師とはどういう関係だ!」

 レイの問いにマリナは下を向いてしまう。

絶対に話さない。そういう雰囲気を醸し出している。

 その強固な態度に、レイの嫉妬は増していくばかり。自分がいない間、あの男と一体何をしていたのだろうか。想像するだけで腸が煮えくりかえる。

 ここ数週間の彼女はとても従順な女性だった。自分のことを好意ある目で見てくれるようになったと思っていた。

しかし違った。庭師がいたから、彼女は優しく振舞っていたのだ。自分に知られないようにするために。

 自分の方が先だ。焦ることはない。

 マリナを好きになり、この別荘につれてきた。あの男は、別荘にいる彼女に手を出した。

 人の女を寝取るような下劣な奴だ。スラムに住んでいて、ロクな生活を送っていないのだろう。
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