春待つ花のように
「ここにいたら…」

「わかってる!…でも行けないの」

 マリナが怒鳴る。目には涙を溜めて。

「ノアルとはお別れね」

 涙が頬をつたう。声を出して泣きたくなる気持ちを抑えて、マリナは笑顔でノアルのことを見つめた。

ノアルも自分に出来る精一杯の笑顔で彼女のことを見る。

「ノアル様」

 ゼクスの声で、マリナから視線を離すノアル。

彼女をここに一人残していくは心が痛い。しかし彼女はレイの元にいることを選んだのだ。最初から終わりのくる恋愛だった。

これで良かったのだ。そう自分に言い聞かせると、彼女に背を向けて、ゼクスの背中を追いかけた。














「どういうことだ!」

「きゃっ」

 レイはマリナの頬を思い切り叩く。ソファに座っているマリナは叩かれた勢いで床に落ちた。
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