春待つ花のように
 泣いている彼女を放っておくわけにはいかない。

 でも、今の自分に何が出来るというのだろうか。

 死んだ恋人のことを吹っ切れずに、殺した男に復讐することでしか、気持ちの切り替えが出来ない自分に、彼女の今の気持ちを理解出来るというのだろうか。

 手を差し伸べて、支えることが出来るというのか。

 カインはゆっくりと呼吸をすると、ローラに背を向けて歩き出した。
















「今、帰ったよ」

 レイが、マリナの部屋のドアを開けるなり、そう口を開いた。ソファに座っていたマリナは、作業している手を止めると立ち上がってレイに近づいていく。

「今日もいい子にしていたかい」

 レイは自分の前で足を止めたマリナの頭を撫でる。

 彼女は、嬉しそうに微笑むと彼に抱きついた。
< 142 / 266 >

この作品をシェア

pagetop