春待つ花のように
「あの女って、もしかしてテーラ様…?」
「そうよ! そんなことも知らないでこの本を持ってたの? あの女から貰ったんじゃないの?」
「あ、はい…まあ」
曖昧に返事をするマリナ。
「ああ、気分が悪いわ。その本、処分しておいて頂戴」
レティアはキッとマリナのことを睨むつけると、そそくさと部屋からでて行ってしまった。
一人になるとマリナは椅子の上に置いた本を手に取ると、愛おしそうに見つめる。
この本は、ノアルの母親が大切にしていたという本。でもレティアは、この本をテーラのだと言った。
ノアルはもう何年も母親と会っていないと…。ということは、テーラはノアルの母親?
彼は自分の母親が宮殿にいたことを知っていたのだろうか。そしてロマの側室だったということも承知していたのだろうか。
それとも何も知らずに、一人でスラムで生活していたというのか。
マリナは本を抱きしめると、瞳を閉じた。
「ノアルに会いたい」
「カイン、最近考え事ばかりしてるわね。大丈夫?」
薬屋のカウンターを挟んでアンジェラが話しかけてくる。カインは顔を上げると、にっこりと彼女に微笑んだ。
「そうよ! そんなことも知らないでこの本を持ってたの? あの女から貰ったんじゃないの?」
「あ、はい…まあ」
曖昧に返事をするマリナ。
「ああ、気分が悪いわ。その本、処分しておいて頂戴」
レティアはキッとマリナのことを睨むつけると、そそくさと部屋からでて行ってしまった。
一人になるとマリナは椅子の上に置いた本を手に取ると、愛おしそうに見つめる。
この本は、ノアルの母親が大切にしていたという本。でもレティアは、この本をテーラのだと言った。
ノアルはもう何年も母親と会っていないと…。ということは、テーラはノアルの母親?
彼は自分の母親が宮殿にいたことを知っていたのだろうか。そしてロマの側室だったということも承知していたのだろうか。
それとも何も知らずに、一人でスラムで生活していたというのか。
マリナは本を抱きしめると、瞳を閉じた。
「ノアルに会いたい」
「カイン、最近考え事ばかりしてるわね。大丈夫?」
薬屋のカウンターを挟んでアンジェラが話しかけてくる。カインは顔を上げると、にっこりと彼女に微笑んだ。