春待つ花のように
『王妃が探していましたよ』

 廊下ですれ違う人たちに言われたゼクス。外出している間に、レティアは何処まで彼を探しに行っていたのだろうか。

 ゼクスは彼女の部屋の前まで来ると足を止めて、室内に入っていった。

「遅くなりました」

「何処に行っていたの!」

 ゼクスの顔を見るなり、レティアは目を吊り上げて怒鳴った。

「少し街に…」

「どうして? 貴方はレイの護衛か女狐の世話でしょ?」

「ちょっと所用で、申し訳ありません」

 不満そうに彼女は鼻を鳴らすと、ベッドに腰掛けた。寝巻き姿のレティア。下着をつけずに透けている生地を着ている。

「今日は着替えないのですか?」

「着替えたのよ。ゼクスが来るから、これに着替えて待っていたの」

 レティアは立ち上がると、ゼクスの前に立つ。透けて見えている乳首を自分で抓むと、彼の顔を見た。
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