春待つ花のように
「有能だったのですか?」

「バルト国王のこと? 悪い噂ばかりしか聞かなかった?」

 レティアはエマのほうに視線を戻すと、真っ直ぐに彼女のことを見た。

「はい」

「その噂、ほとんどロマが流したデタラメよ。大好きな婚約者を獲られた腹いせね。何年もかけてバルト国王の評価を落としていって…殺したの。確かにバルト国王は我が侭だし、他人の助言を聞かないところもある人だったらしいけど、それは全部国のため。ひいては国民のため」

 エマは初めて知った。テーラという女性めぐり、ロマが仕組んだ計画だったのか。

 あの10年前の謀反は。その計画に参加し、最愛の人と別れることになった自分はなんと愚かな人生の選択をしてしまったのだろうか。

 ロマという男の偉大さに感動し、ついてきたこの10年間が勿体無く思う。

 大勢の人を斬り、不幸にした。それがロマの女をとられた復讐だけのためだった。
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