春待つ花のように
「最近、アスラン家の復讐劇が始まったんですってね」
エマの指先がピクリと反応する。もしかしてレティアはゼクスがアスラン家側
にいると知っているのだろうか。
彼女の飲み終わったカップを片付けながら、レティアの表情を見る。
「エマはアスラン家の残党捜索部隊にいたのでしょう? 何か知らないの?」
「もう五年前に除隊しておりますので…」
「それもそうね。ロマの側近たちがアスラン家の家紋を握り締めて死んでいたんですって。ロマは何を考えているかしらね。面白くなりそうね」
にやりと口元を緩めてレティアは微笑む。ロマを愛しているがゆえに憎んでいる彼女の気持ちが、その表情にひしひしと出ていた。
愛しているのに、愛してもらえない。そんな日々が続いていると、いつしか人は最愛の人を憎み、そしてその人の不幸を願ってしまうものなのかもしれない。
「あの人がいけないのよ。たった一人の女のために有能な国王を殺すから…今頃になってそのツケがくるんだわ」
『有能?』
エマは心の中で繰り返した。
確か、前国王バルト・アスランは横暴で暴君のはずではなかったのか。バルトが生きていたときは、悪い噂ばかりしか聞いていない。
エマの指先がピクリと反応する。もしかしてレティアはゼクスがアスラン家側
にいると知っているのだろうか。
彼女の飲み終わったカップを片付けながら、レティアの表情を見る。
「エマはアスラン家の残党捜索部隊にいたのでしょう? 何か知らないの?」
「もう五年前に除隊しておりますので…」
「それもそうね。ロマの側近たちがアスラン家の家紋を握り締めて死んでいたんですって。ロマは何を考えているかしらね。面白くなりそうね」
にやりと口元を緩めてレティアは微笑む。ロマを愛しているがゆえに憎んでいる彼女の気持ちが、その表情にひしひしと出ていた。
愛しているのに、愛してもらえない。そんな日々が続いていると、いつしか人は最愛の人を憎み、そしてその人の不幸を願ってしまうものなのかもしれない。
「あの人がいけないのよ。たった一人の女のために有能な国王を殺すから…今頃になってそのツケがくるんだわ」
『有能?』
エマは心の中で繰り返した。
確か、前国王バルト・アスランは横暴で暴君のはずではなかったのか。バルトが生きていたときは、悪い噂ばかりしか聞いていない。