春待つ花のように
 ふと目が覚めると、マリナは窓を見る。外が明るくなり始めている。もう少ししたら、ノアルが庭の手入れにくる時間になるだろう。

 今日は会えない。レイが着ているから。そのことはゼクスが彼に伝えてくれるだろう。

『レイがいるから今日は無理』そんな直球では言わないだろうが、適当な理由をつけて自分とは会わせずに帰すだろう。

「イタっ…」

 マリナは思わず声が出てしまう。ベッドではスヤスヤと気持ちよさそうに寝ているレイがいる。

 マリナは布団から出ると、裸の体にガウンをかけた。昨日、無理やり入れられたところが痛い。何回やっても血が出てしまう。

 こんなことに何の意味があるのか。ただレイが気持ちいいだけで、自分には何の快楽も感じられない。

 窓枠に体を預けると、マリナは何を見るわけでもなく外を眺めた。太陽が昇り始めている空。

 夕焼けに似ている光景だが、夕焼けのように寂しさは感じられない。これから一日が始まるサイン。

 マリナはまるで一日が終わってしまったかのような顔をして、その太陽を呆然と見つめた。

「ノアル?」

 マリナは口に出した名前にハッとして、レイの姿を見る。彼はまだ睡眠途中のようで、彼女の声は聞こえていないようだった。
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