春待つ花のように
 結局、上手くいかずに恨まれるのはレティアだけ。そして悪い噂ばかりが広がり、彼女は悪女にされてしまう。

「ゼクスのことはもういいわ。夫の命を狙っていたなんて…とんだ食わせ物だったのね。エマは? それでエマはどこにいるの?」

 ユズキは考え事をしているうちに、2人の会話は進んでいたようだ。

「私の部屋で休んでいます。ゼクスとの争いで疲れてしまったようで…国王に報告する前に王妃にも…と思いまして」

「そう…。私は国王にエマの軍復帰をお願いするだけでいいの? 他に望みがあるんじゃなくて?」

 レティアの発言に、ユズキの顔が一気に曇る。またこいつも彼女のことを利用する。そして傷つくのは彼女の方だ。後姿のロイに向かって、ユズキは睨みつけた。

「いえいえ、そんな畏れ多いこと。ただ僕は裏切り者を処理したいだけのこと」

 そう言うとロイは剣を抜いてユズキの喉元にゆっくりと狙いを定めた。















「ゼクス、大丈夫か?」

 ノアルが心配そうに声をかける。
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