春待つ花のように
「私なら平気です。それよりも…」

「マリナならもう寝たよ。いろいろ話を聞いて頭がパンクしそうだって話してた。カインも無事で良かった」

 ノアルは嬉しそうに微笑むとすぐに暗い顔になった。状況は極めて悪い方へ向かっている。

 カインとゼクスの報告から、上手く宮殿に潜り込めていると思っていたのだが、何処から歯車がずれてしまったのだろう。

「申し訳ありませんでした。私のミスです」

 肩の傷が痛む中、ゼクスは起き上がると目をつぶった。

「ゼクスの?」

「はい」

 ノアルは不思議そうな声をあげる。

「王妃の傍にいた女がアスラン家残党捜索隊の隊長をしていた女だったんです」

「それに気づかなかったんですか?」

 ノアルの隣に座っていたカインが怖い顔をして質問した。

「見覚えがある女性だとは思っていましたが…」

 ゼクスは口ごもると、カインは鋭い目で彼のことを見た。

「ノアル様、少しゼクスと2人きりにしてください」

 ノアルはカインの顔を見ると、静かに立ち上がった。もしかしたら自分には言えない過去があるのかもしれない。
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