春待つ花のように
 彼女がそんな風に自分のことを思っていたなんて知らなかった。初めて彼女の心に触れた気がした。

 ただの護衛官ではなく、一人の男としてレティアの傍にいれる。
 この関係は過ちかもしれない。

 でもこれで彼女の気持ちが落ち着くなら、自分はどうなってもいいと思った。













「ノアル、こうやってまた過ごせるなんて嬉しい」

 マリナは布団の中で嬉しそうに言った。自分の腕の中で安心している彼女に、ノアルも満足そうに頷く。

 ゼクスとカインのいる隣の部屋で、彼らは寄りそうに一つの布団の中で抱き合っていた。

 ノアルも彼女と同じ時間を共有することが出来るようになるなんて思っていなかった。

 レイを選んだ彼女のことを憎んだことはなかった。もともと彼の婚約者だった。

 横取りをしようとしたのは自分で、いけない事をしたのも自分。

 レイに恨まれても仕方のないことだと思っていたが、彼を憎んではいけない。そう心に言い聞かせていた。
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