春待つ花のように
 でも心の中では、どうしてこんな恋しか出来なかったのだろうか。もっと別の形で彼女と出会いたかった。そんな風に考えるときもあった。

 今更、考えることでもなかったが、ウジウジと彼女とのことを考えていた自分が馬鹿らしく思える。

「カインさんから、聞いたわ。ノアルがテーラ様の息子さんだったなんて」

「母のことを知っているの?」

「宮殿にいるときにお世話になったの。横暴なレティア王妃から、何度も助けてもらったわ」

 にっこりと微笑むマリナ。でも何処か寂しそうな表情をしていた。

「母はロマに殺されたって」

「私はレティア王妃に殺されたって聞いた。テーラ様ばかりご寵愛するあまり、ロマ国王は彼女に見向きもしなくなったって…でも、それもわからない。今日の王妃を見ていたら、王妃がどんな人だかわからなくなったの」

 マリナはそう言い、口を閉じてしまう。カインと彼女のことを逃がしてくれたレティア。
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