春待つ花のように
 緑の葉の服を着ている木々がそよそよそと風に揺れている。

 ここから宮殿がよく見える。アスラン家の家紋が入っている旗が風に乗っている。

 ノアルが国王になってすぐに旗が掲げられた。彼の国王宣言に抵抗した人々はあまりいなかった。

 皆、ロマの横暴さにあきれ返っていたようだ。ロマの息子のレイだけは抵抗し、ノアルに斬りかかった。

 その罪で今も地下牢に幽閉されているという。彼がいつ自由の身になるのかはわからない。

「ノアル様はどんな国をつくるかな?」

 ユズキは墓の前で呟くと空を見上げた。雲一つない青空。これからどんな政策が行われていくのだろう。

 皆、ノアルに期待している。新国王誕生と、国中盛り上がっている。スラムでの生活を生かして、豊かな国にしてくれるだろう。

 誰もが目指している国に作り上げていくことを願い、そして協力して築きあげていくだろう。












『春待つ花のように』完結
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