春待つ花のように
 だから、自分がキスしたときに抵抗をせず、それから会うたびに触れあいを重ねた。

 彼女は本当に自分に恋をしているのだろうか。果たして自分も…彼女にたいして恋心があるのだろうか。

 初めて見たときは、彼女の瞳に奪われた。それから彼女のことを考えることを日に日に多くなっていった。

 また彼女の姿を見てみたい。彼女と話をしてみたい。そう思った。実際、彼女と話す機会が多くなると、もっと彼女と話をしたい。彼女と一緒に過ごしたい。

 そう感じ、一つ仕事を減らして、彼女といる時間を増やしていた。

 彼女はレイの婚約者で、どんなに彼女のことを想っても一緒にはなれない。そういう考えが根底にはある。

 絶対に自分のモノにはならない。無いものねだり…なのだろうか。手に入らないと思えば思うほど欲しくなる。欲求が強くなる。彼女への気持ちもそれに似たものなのかもしれない。

 一緒になれないとわかっているからこそ、余計に弾かれていってしまうのかもしれない。

 恋とは何なのだろうか。











「ノアル…ちょっといい?」

 弱々しくノックしてノアルの部屋に入ってきたのは、ローラだった。紺色のワンピースを着ている。飾りのない、シンプルな服だ。
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