春待つ花のように
「店が忙しいのか?」

 ノアルは起き上がると、ローラのことを見た。ローラは首を横に振ると、スカートの太もものあたりとギュッと握り締めた。

「店はもう終わったから…」

 消え入りそうな声でローラは言う。ノアルは驚くと空の星を見る。自分はそんなに長い時間考え込んでいたのだろうか。

 店が終わり、ローラが来たということは店の片付けは終わっているということになる。

 手伝いたくないと思っていても、本当に一度も店に顔を出さずに終わってしまった。それも少し申し訳ないような気もした。

「どうした?」

 ノアルは、彼女が寒い思いをしたら悪いと思い、窓を閉めて鍵をかけた。夜の風は冷たい。

 風邪でもひいたら大変だ。もう一度、彼女のほうに体を向けると、ローラにベッドの近くにある椅子を勧めた。ローラは小さく頷くと、椅子にチョコンと腰をかけた。

「何かあったのか?」

「あの…」

 ローラは下を向き、とても言いにくそうにモジモジとしている。彼女に何があったのだろうか。少し心配になるノアルだった。
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