春待つ花のように
「そう、じゃ…」

 ローラは静かに言うと、毛布をたたみ始めた。部屋を出て行くのだろうか。

 一体、彼女はなぜ部屋に来たのだろうか。言いたくなければ、話さなくてもと言った手前、もう聞き返せない。

 しかしどうして自分の部屋に来たのか、気になったノアルだった。

「部屋に戻るのか?」

 ノアルは態勢をかえて、ローラの方を見ると口を開いた。椅子の上にたたんだ毛布を置くと彼女は寂しそうに笑った。

「部屋には戻れない…」

 彼女の言葉にノアルは勢いよく起き上がる。部屋に戻れないとはどういうことなのか。

「イブと何かあったのか?」

「ううん。そういうわけじゃ、ないんだけど…」

 言葉を濁すローラ。彼女はイブと一緒の部屋で生活をしている。

 3階にノアル。2階はイブとローラが一部屋と、ジェンとクリスでもう一部屋を使っていた。

 そして1階はお店『クリスティーナ』。命名はジェン。初恋の女性の名前らしい。
< 37 / 266 >

この作品をシェア

pagetop