春待つ花のように
 この家を建て、店を開いてからすでに8年が過ぎていた。

 スラムでの生活から共同生活には慣れていたと思っていたが、やはり最初はいろいろと問題があった。

 同じ部屋で衣食住を共にするのは簡単なことではなかった。でもその問題を一つ一つ5人でクリアしていき、今に至ったのだ。

 それこそ最初の1、2年は部屋から追い出されたり、追い出したり…とローラたちが文句を言いにノアルの部屋に来ることはあった。

 今の生活に慣れて仲良く過ごしていると思っていたのは自分だけだったのだろうか。

「ローラ?」

 また下を向いてモジモジしだした彼女に声をかける。

 ベッドに座ったまま、彼女の顔を見るため覗き込む。ローラの顔は真っ赤になっていた。

「イブが…ノアルの部屋に行ってこいって。朝まで帰ってくるなって…」

 ローラの言葉に、ノアルは息を沢山吸い込むとため息をついた。イブの考えそうなことだ。どうにかして、自分とローラを恋仲にしたいらしい。
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