春待つ花のように
 玄関から門の間には綺麗な花々が咲いている。今日、レイが来ることを知っていたのだろう。しっかりと手入れが施されていた。

「庭師はプロの方ではないのですか…。とてもそうは見えませんね。流石、レイ様」

 にっこりと微笑むマリナ。レイは満足そうに頷いた。

 マリナは思い出す。毎日毎日、手を抜くことなく作業をしていたノアルのことを。今日だって一度目が合ったきり、ずっと作業に没頭していた。

 仕事が終われば、休む間もなく別荘を出て行った。

 彼と話がしたい。自分には彼を見つめることしか出来ないのか。

 以前のように触れ合えなくてもいい。ノアルと一緒の時間を過ごしたい。触れ合うことで会えなくなるのは嫌だ。

 触れ合えなくていい、これ以上何も望まないから、ノアルと話がしたかった。















「もう、出かけるの?」

「ああ。レイ様が昨日から泊まっているから、彼らが起き出す前に作業を終えとかないと…」

 ベッドの奥に寝ていたローラが眠そうに目を擦りながら起き上がる。
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