春待つ花のように
 マリナとは一緒になれない。

 そう頭ではわかっているのに、心では彼女のことを求めてしまっている。ローラを選んだ方が自分には合っている。

 幸せになれる。ローラを好きになるんだ。そう思っても、すぐにマリナのことを考えてしまう。考えないようにしても、自然にそうなってしまうのだ。

 昨日はローラを激しく抱いてしまった。レイとマリナのことを考えると、大人しくなどしていられない。

 今頃は…そう思うだけで胸がムカムカして、ローラの体を考えずに抱いてしまった。まだそういうことに慣れていないのに。きっと痛かったに違いない。

 彼女には申し訳ないことをしてしまった。

 ノアルは別荘に着くなり、2階の窓を見上げた。昨日、マリナと目が合った窓を。今日はカーテンがかかっている。

 まだレイとマリナが寝ているという証拠なのだろう。

 レイがマリナを抱いた。婚約者なのだ。会えばそういう流れになることは当たり前。それでも許せない自分がいる。

 いけないのはむしろ自分の方。レイの婚約者である彼女に惚れたのは自分なのだから。

 ノアルは作業道具一式をバケツに入れると、まずは食堂の横にある花壇に腰を下ろした。

 数日前に雑草を取り除いたのに、もう生えてきている。この花壇に植えた花は雑草に弱い花。

 すぐに抜かないと枯れてしまう。手袋をすると、すぐに抜き始めた。
< 50 / 266 >

この作品をシェア

pagetop