春待つ花のように
 別荘に閉じ込められている鬱憤を晴らすために自分はいるのだと思っていた。彼女が本気で自分を好きになってくれているとは思わなかった。

「本当に?」

 ノアルは手袋を脱ぎ捨てながら質問をする。マリナは少し涙ぐんだ瞳で頷いた。

「私…」

「もう何も言うな、言わなくていい」

 ノアルは窓に近づくなり、マリナに抱きついた。マリナも彼の背中に手をまわす。

 ノアルは彼女のことを抱き上げて、食堂から外に出した。そして建物の壁に背をつけると、マリナを下ろしてキスをした。

 一回目は軽く。互いの顔を見つめあってから、抱きしめあったまま、二回目は激しく唇を求め合った。

「レイは?」

「大丈夫、まだ寝てるから」

「ドレス、汚れたけど平気?」

「私を外に出すからよ。何とかするわ」

 ノアルとマリナはおでこをくっ付けたまま、会話をする。ノアルの手は彼女の腰に、マリナの手は彼の首にまわされている。

「マリナを抱きたい」
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