春待つ花のように
「俺は何もしてない」

「そう」

 不思議そうな表情のマリナ。布団を首まであげると、すっきりしない顔をした。

「どうした?」

「ゼクスがね、ノアルと一緒に居るときは鍵を閉めておきなさいって。それって私たちの関係を知っているってことでしょ?」

「まあ、そうなるな」

『私はどんなことがあってもノアル様のお味方ですから』

 ノアルはゼクスに以前言われたことを思い出した。彼はきっとこのことを話していたのだろう。

 あの頃から、自分とマリナがこういう関係になると見抜いていたとは。

「どうしてかしら。彼はレイの部下にあたるわけでしょ。なのに何で…」

「いろいろあるんじゃないの?」

 ノアルは適当に答えると、ベッドから出て洋服を着始める。そろそろ用意をして次の仕事に行かないと間に合わなくなる。

 ずっとマリナと触れ合っていたが、そういうわけにもいかない。
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