春待つ花のように
「ロマ?」

 一気に怖い顔になるノアル。忘れたくても忘れられない名前だ。その名前をカインから聞くなんて、何とも情けない。

「もう一度聞く。母上を殺したのはロマか?」

 ノアルの質問にカインは静かに頷いた。なんということだろう。母がこういうことになるなら、もっと親密に連絡を取り合っていれば良かった。

一人前になるまでは母とは会わない…なんて勝手な目標なんか立てなければ良かった。そうすれば母ともっと会話が出来たはずだった。

「どうして…」

 壁に手をつくと、ノアルは一筋の涙を流した。

「ノアル様、詳しい話はここではちょっと出来ません。私たちはここに居ますので、時間があるときに来て下さい」

 カインは一枚のメモを渡すと、姿を消した。この先の路地に出れば、人通りの多い道になる。そうなれば、誰にこの話を聞かれるかわからない。カインが配慮したくれたわけだ。

 ノアルはため息をついた。母がロマに殺された。そんな情報を自分にくれる。

彼らが願っているのは『復讐』だ。その引き金を自分に引かせたいらしい。













「ローラの母はどんな人だ?」

 ベッドの中でノアルは質問する。彼と同じベッドの中で横になっているローラは首を傾げた。
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