春待つ花のように
「ミゲルか?」

 ノアルのその言葉にミゲルは、彼のことをジッと見つめる。

「ノアル様?…ノアル様!!」

 一気に嬉しそうな顔をすると、早足で残りの階段を下りて、ノアルの前にひれ伏した。

「カインから聞いていましたが、こんなに早くにお会いできるなんて…」

「ミゲル、頭を上げてくれ。俺はもう…」

「いいえ。私たちにとってノアル様はノアル様でございます」

 ゼクスもミゲルも昔の自分を忘れてくれない人たちばかりだ。ノアルはため息をつくと、彼と同じ目の高さになるように腰を下ろした。

「母上のことを聞きにきただけだ。そう畏まらないでくれ」

「テーラ様の?」

 ミゲルは顔を上げると気まずそうな顔をした。そして少し考えると、唇を噛み締めた。

「私たちがもっとしっかりテーラ様のお傍についていればこんなことには…」

 ノアルはミゲルの肩を触る。

「お前たちを責めに来た訳じゃない。2年前に母上が死んだと聞いた。それまでの間、母上がどのように過ごしてきたのか、知りたいだけだ」
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