春待つ花のように
「『僕が頑張るから、君は何もしなくていい』って言ったのは何年前になるかしらね? …店番、頼むわよ」

 アンジェラは紙袋をミゲルに渡すと階段に向かった。

 ノアルは聞いていない振りをしてさっさと階段を上りきる。続いて、アンジェラが何事もなかったように笑顔で上がってきた。

「ミゲル…いいのか?」

 ノアルは恐る恐る聞いてみる。アンジェラは笑顔で頷いた。

「いいのよ。気にしないで。今、お茶をいれるから適当に座ってて」

 そう言われるとノアルは窓の近くに腰をおろした。

 何もない部屋。唯一、キッチンと棚があるくらい。

 ここで彼らが生活をしているのか。それともここを拠点として、生活している所は別になっているのだろうか。

「確かに、ここに店を構えて生活出来ているのは彼のおかげなんだけど…」

「不満があるのか?」

 ノアルはアンジェラの姿を見る。彼女はキッチンに立ち、ボトルからコップにお茶をいれていた。
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