春待つ花のように
「カイン…ロマが本当に国民を苦しめているのなら俺は立ち上がろう。少し、時間をくれないか。ロマについて、調べてみる。それから答えを出す」

 ノアルの言葉に、カインは満足そうに微笑んだ。そして二階を見上げると、再びノアルの顔を見つめた。

「彼女はしばらくこちらで預かります」

「人質?」

「彼女は私たちの秘密を知ってしまった。解放するわけにはいきません」

 カインはそう言うとノアルの手首を引っ張り、店のドアを開けて彼を外に出してしまった。

 店内に入ろうとするが、カインの力の前では勝てるはずもなかった。

「大丈夫です。彼女は丁重に扱いますから」

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