春待つ花のように
「ガーネを忘れるのに10年か…」

 ゼクスがしみじみと呟いた。

 カインは、ロマに最愛の人を殺されたシーンを思い出した。王妃を守るために、身を投げ出すことを決意した彼女。

 そして王妃を守るために、最愛の彼女を見捨てた自分。今でもあのときの感情を忘れない。

「私に話しておきたいこととは何ですか?」

 カインはゼクスの文を渡す。昨日の夜に届いた手紙。ローラを一人残していくのもどうかと思ったが、彼女は待っていると言ってくれた。

 家に一人で置いてきたと他の仲間に知られたら、怒られるかもしれないが、彼女なら信用してもいい気がした。

「他の奴に話すかはカインが判断してほしい…」

 家に到着するなり、カインは大きなため息をついた。聞きたくない事実を、ゼクスから聞いてしまった気がした。

 知らないよりは、知っていたほうがいい事実。しかし、他の仲間には言えないことかもしれない。

 そしてローラにも言えないノアルの事実…。
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