春待つ花のように
「申し訳ありません」

 カインが頭を下げる。彼の左頬はどんどん赤みを増していく。しばらく頭を下げて、再び上げるとまたイブの平手が飛んできた。

「謝って済む問題じゃないでしょ! どういうつもりでローラを監禁していたのよ」

 イブの質問に、カインの表情は硬くなる。本当のことは口が裂けても言えない。

 どのように説明をすれば、彼女が納得するのだろうか。曖昧の言い訳ではきっと彼女は益々怒るだろう。

「もう、いいじゃない。こうやって無事に帰ってこれたんだし…ね」

 イブとカインの間に、ローラが割って入ってきた。イブは彼女の肩を触ると、全身を舐めるように見ていった。

「ローラ、変なことされなかった? 怪我、してない?」

「平気よ」

 笑顔で答えるローラに安心するイブ。しかしすぐに表情を変えると、カインを睨む。

「こういうことははっきりさせないとね」

 イブに睨まれるカイン。視線を下にすると、軽く頭を下げた。
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