四季の詩-シ キ ノ ウ タ *゚-
「来世で良い……──来来世でも良い────」
ゆっくりと堪えきれなかった雫が頬を伝う。それでも、構わず言葉を続ける。
「いつか、人々に身分も柵(シガラミ)も何もなくて──……」
それは…
「自由な世界になったなら……──」
まるで、歌うように…
「家族でも、友としても……動物でも何でも良い────」
遠い未来にむけた…
「貴方とまた…──廻り会いたい────…」
たった一つの願い事…。
手を離すと駆け出す。
貴方の叫ぶ声が聞こえるも立ち止まらない。振り返らない。
「さようなら……もしまた出会えたならその時は────」
──……貴方に伝えられなかったこの想いをきっと、きっと……。
涙が頬を伝い風に流れた。
「終焉の章……────」
この日、季節外れの桜が天から舞い散った。炎は消え、世界は真っ白になった。