昇格試験
次の瞬間、彼女は大鎌を振り下ろしていた。

いつ手にしたのかも、いつ振り上げたのかもわからない。

常人ならば、何が起きたのかさえ理解できずに両断されているだろう。

それはまさに、刹那の出来事。

そんな神業じみた斬撃を。

「…………」

小岩井さんは受け止めていた。

眉一つ動かさないまま、大鎌の直撃の寸前に発生させた不可視の障壁によって。

小岩井さんの得意技だ。

この障壁は、月の姫君が率いる艦隊の砲撃をも防ぐ事ができるほどに堅牢なもの。

小岩井さんの高等霊ぶりを如実に表すものだった。

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