昇格試験

彼女が宣言した瞬間、小岩井さんの透過した霊体が少しずつ『存在』を持ち始める。

霊に過ぎなかった小岩井さんが、白兎の君と同じように『死神としての肉体』を得たのだ。

「死神として認められた事で、小岩井さんは『受肉』しました。生前最も生命力に満ち溢れていた頃の若き時代の肉体を与えられたのです」

その証拠に、霊体の時には半分崩れかかっていた顔も、今では端正な若者の顔へと変貌している。

見た目だけならば、普通の人間と変わりないほどに。