昇格試験
幽霊は、廊下をゆっくりと進んでいく。

一見すると、人気のない夜の学園を徘徊する浮遊霊。

天神学園の心霊体験談の一つにでも語られそうな光景だ。

しかし、小岩井さんは目的もなく廊下を進んでいる訳ではない。

そして彼の目的を知っているのは、保険医や若き幽霊といった、ごく一部の者達のみ。

「小岩井さん」

廊下で彼を呼び止める杖をつく老婦人。

天神学園教頭。

彼女もまたその一人だった。

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