昇格試験
「どういう心変わりだい?貴方は昔から、争い事なんて得意じゃなかったろう?命を刈らなきゃいけなくなるんだよ?罪の意識に苛まれながら、魂を狩らなきゃいけなくなるんだよ?優しい小岩井さんに、そんな職務は向いていないと思うがね…」

心配そうに小岩井さんに語りかける教頭。

その目は、天神学園の最高権力者としてではなく、かつて共に暮らしていた愛猫としての目だった。

…気に掛けてくれている。

小岩井さんにも、教頭の気持ちは伝わっていた。

伝わった上で。

「デモ、コノミチヲエラベバ…『カノジョ』ヲヨリカクジツニマモレルヨウニナリマスカラ…」

小岩井さんは教頭にそう告げて、彼女の傍らを通り過ぎて行った。

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