落ちこぼれの恋愛事情。

「その、私、…聞いてしまったのですが」

「何をですか?」


冷静に聞き返しながらも、
僕の体は再び冷や汗を浮かべ始めていた。


「真城様って…昔はっ」

「その話は止めなさい!」


まだ寝る時の浴衣のままで、僕は襖を勢いよく開いた。


「っ!!」


怯えた顔の裕璃が、そこにいた。


「…あ、あ……」


僕は彼女に冷たく一瞥をくれた。


「も、申し訳ありませんでしたっ!!」


裕璃は一目散に階下へ降りていった。


「…裕璃と、彼女に余計な話を吹き込んだ方は解雇しなければ…」


僕は呟いた。

< 36 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop